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杉田玄白「蘭学事始」は中年おじさん青春グラフィティ

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杉田玄白「蘭学事始」は中年おじさん青春グラフィティ

杉田玄白 英語 勉強 蘭学事始

短くまとめると・・・

杉田玄白の蘭学事始は、中年のおじさんたちが、一念発起してオランダ語の医学書を翻訳する青春グラフィティであることがわかりました。これを読むと英語学習のやる気がグングン上がりますよ!

もくじ

杉田玄白の「蘭学事始」を超おすすめしたい
杉田玄白、蘭学やるってよ
玄白先生、英語が勉強したいです
まとめ

杉田玄白の「蘭学事始」を超おすすめしたい

蘭学事始を読んでみた!

歴史の教科書に出てくるような古い本を読んでみたら、あまりのおもしろさにグイグイ引き込まれた、なんて経験ありますか?私にとって、杉田玄白の「蘭学事始(らんがくことはじめ)」がまさにそれでした。

杉田玄白という名前を聞くと、「解体新書」を書いたしわしわのおじいさん、というイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。私もその一人です。

その杉田玄白が書いたもうひとつ有名な著作が「蘭学事始」です。蘭学事始は、80歳を過ぎた玄白爺さんが、当時の蘭学ブームを横目に、「ワシの若い頃は大変じゃった・・・」といって自分の青春を懐かしく思い出すという、回想録という体になっています。

この回想録が、実に面白いのです。江戸時代の人たちが、いかにしてオランダ語を勉強したのか、その苦労や勉強方法、なによりもその情熱に、胸の奥を突き動かす熱いものを感じずにはいられないのです。

このブログでは、蘭学事始に出てくる杉田玄白のオランダ語勉強法を紹介しつつ、現代を生きる私たちが、外国語習得の大先輩である杉田玄白から何を学べるのか、考えてみようと思います。

杉田玄白

杉田玄白、蘭学やるってよ

杉田先生、蘭学に目覚める。

杉田玄白は江戸でお医者さんをやっていたわけですが、当時は外科手術などはほとんど行われておらず、玄白自身も、人体の中身(内蔵)がどういう形をしているのか、どういった機能を持っているのか、あまりわかっていませんでした。かろうじて昔から伝えられる中国からの医学書にちょろっと書いてあるだけで、本当のところはよくわかっていませんでした。

西洋医学は日本のそれより進んでいるという噂を聞いていた玄白ですが、いかんせん言葉がわからない。年に一度長崎は出島から来るオランダ使節団の通訳に、「オランダ語って難しいかな?」と尋ねても、「子供のころからオランダ語に触れてる通訳士でさえ、チンプンカンプンなことが多い。今から勉強しようなんて、諦めた方がよいですぞ」と言われてしまいます。これにはがっくり来た玄白は、このときはすごすごと引き下がったそうです。

そんなときに、玄白はとある伝からターヘル・アナトミア、後の解体新書の原著となる西洋医学の本を入手できるチャンスが訪れます。しかし当時外国の本はとっても貴重で、一冊買うだけでお給料が数ヵ月分吹っ飛んでしまうほどの額だったそうです。それでも我慢できない玄白は、上司の家老に相談して、なんとかお金を工面できないか相談しました。

それを聞いた上司は、玄白にこう聞きます。

「その本が欲しいのはわかった。で、それって役に立つの?」

これを受けて、玄白はこう見栄を切りました。

「役に立つか、現時点ではわかりません。でも絶対役に立ててみます!」

こうして、根拠のない自信で上司を説得して、ターヘル・アナトミアを入手した玄白。飛び上がるほど嬉しかったと本人は書いていますが、実はこの時点で、オランダ語のABCが読めなかったそうです。案外、人は思いきって言ってみるものなのかもしれませんね。

37歳から始めるABC(アーベーセー)

超レア本ターヘル・アナトミアを手に入れた玄白。この本の内容と、人体解剖して実際に見てみた内蔵の様子がぴったり合っていることを確認した玄白と仲間たちは、オランダ医学の優れた知識に感動します。そして、仲間たちと共に、一刻も早くターヘル・アナトミアを翻訳して、日本の医学に役立てることを決心します。

当時は江戸時代なので、スマホもなければGoogle翻訳もありません。しかも江戸時代は鎖国をしていたので、まともな外国語辞書はほとんどなく、情報は極めて限られていました。そんな状況下で、「俺はオランダ語を勉強して医学界に貢献するんだ!」という一念のもと、「明日から俺んちに集まって、みんなで翻訳しようぜ!」と言って、さっそく翻訳作業に取りかかります。解剖をやった翌日からさっそく行動開始、すごいですね。

この時、仲間のうちに前田良沢という医師がいました。良沢はほんのちょっとだけオランダ語がわかったので、まず彼が玄白たちにABCから教えてあげて、そこから翻訳作業にとりかかりました。ABCをちょろっと覚えただけで、いきなり難しい医学の本を読む、これだけでこの作業がどれだけ大変か、想像ができますね。

鼻はフルヘッヘンドするもの、落ち葉もフルヘッヘンドするもの

とりあえずかろうじてわかるところから手をつけていこうと決めた玄白たちですが、すぐに作業は滞ってしまいます。いかんせんわからない単語が多い。わからないところには、ひとまずカギ印をつけて、次の単語次の単語、という具合に当たってみましたが、すぐにページがカギ印だらけになってしまいます。

また、目や耳など、人体の外側にあるものの単語はわかるのですが、それを説明する文章となると、途端にわからなくなってしまいます。例えば、「フルヘッヘンド」という単語。鼻はフルヘッヘンドするものである、と書いてあるのはわかったのですが、それが何を意味するのか、どうしてもわかりません。別の資料を見てみても、なぞ解きの様相を呈してきます。いわく、「枝を切るとフルヘッヘンドする。落ち葉を集めるとフルヘッヘンドする。」

頭を捻っていても答えが出せないと悟った玄白は、実際に枝を切ってみたり、落ち葉をかき集めてみたりしました。するとそこには、枝を切ったあと残されて、木の幹から盛り上がっている切り株や、かき集められて盛り上がった落ち葉がありました。この様子から、「フルヘッヘンド」とは「表面から盛り上がる」、すなわち「鼻は顔の表面から盛り上がっている」ということを書いてあることを発見したのです。

このように、最初は大変苦労していた玄白たちですが、次第にペースをつかみ、最初はわからない単語を意味するカギ十字だらけだったのが、一年後にはその数も大分減るようになりました。そしてついに、作業開始から4年後に、解体新書が完成したのです。ABCもわからなかった中年のおじさんたちが、本の構想に1年、実際の作業に4年、合計5年で医学書を翻訳してしまう、ものすごいことですよね。

このスピード感には目を見張るものがありますが、これは実は玄白自身の狙いでもあったのです。とにかく一度翻訳し、わからないところは飛ばすなり、意訳するなりで、とりあえずやっつけてしまい、あとから見直して修正していく、ということを心がけていたそうです。実際、4年の執筆中に10回以上書き直し修正を行なったといいます。ただでさえ難しい医学書でも、ひとまず形にして、それから修正を加えていく。ちょうど読書感想文をイチから書くのには苦労するけれども、そのあと修正するのは楽チンなのと同じかもしれませんね。

玄白先生、英語が勉強したいです

杉田玄白から外国語習得の極意を学ぶ

このように、大変な苦労をして翻訳を終えた玄白。その後も何度か修正を加えて解体新書を出版しました。これを機に、日本での医学に関する関心(と西洋医学に対する反発)が盛り上がり、蘭学ブームの火付け役となっていったわけです。

そんな玄白先生から、私たちは何を学べるのでしょうか。江戸時代と今では、情報量が断然違い、私たちの方がずっと有利な状況にあるはずです。それでも玄白は、後世に名が残るほどの功績を残すことができたのです。オランダ語と英語とで、言語の違いはありますが、きっと私たちが学べることはあるはずです。ちょっと考えてみましょう。

一念発起!思い立ったらやり通す!

玄白は、翻訳を始めるまで、ABCもろくにわからない状態でした。そんな彼でも、「西洋医学はいずれ日本の役に立つ!」という一念のもと、仲間たちと共に、4年という歳月をかけて、解体新書を完成させました。その間にも、多忙を理由に脱落する人、本業が忙しくて手伝えなくなった人、体を壊してやめていった人がたくさん出ました。それでも玄白は「絶対にやり通す!」と心に決めて、ついに完成させたのです。その心意気は、私たちでも学ぶことができるはずです。

物事には勢いが大事!時には大見得を切る!

ターヘル・アナトミアを手に入れた時の状況を思い出してみましょう。玄白は上司に、「それって役に立つの?」と聞かれたときに、即座に「役に立たせて見せます!」と大見栄を切りました。これはなかなか勇気があります。親や先生、上司に「あんたこれできるの?」と問い詰められるという経験は、誰しもが持っています。その時に思いきって「できます!」と宣言し、あとはその勢いのまま実行に移す。まさに有言実行ですね。

トライアルアンドエラー!とりあえずやってみる!

玄白たちは、解体新書完成までに、10回以上書き直しを行っています。これはすなわち、「とりあえず間違っててもいいから訳してみて、あとから修正していこう」の気持ちがあったからです。ただでさえ解読不能な西洋医学の本です。はじめはわからないことだらけ。だったら間違いを恐れず、ひとまず一度やってみて、あとから修正した方が、ずっと効率がよいのです。あとから見直した方が、はじめの時より知識量も増えているので、わかるところもずっと増えていますしね。

大事な仲間を信じる!

オランダ語を勉強しようか迷っていたときに、玄白が通訳にこの事を尋ねたときに、「やめた方がいい」と諭された、というエピソードを紹介しました。実はこれには続きがあります。難しいと言われて引き下がった玄白に対し、その場に居合わせた前田良沢は、玄白にこう言いました。「オランダ人が話せる言語を、同じ人間である日本人の我々が、習得できない道理はない!」これを聞いてはっと目が覚めた玄白は、オランダ語を勉強する覚悟を決めたそうです。ちなみに、この前田良沢は解体新書作成に大きな貢献を果たした人物です。やはり持つべきはよき友ですね。

まとめ

今回は、江戸時代の人物杉田玄白が、自身のオランダ習得と解体新書の作成エピソードを回想した蘭学事始を紹介しました。200年以上も昔に、外国語を勉強するんだ!という一念のもと、大業を成し遂げた杉田玄白。語学習得という共通の目標を持つ大先輩として、尊敬の念を抱かずにはいられません。

なお、蘭学事始は岩波文庫で出版されていますし、図書館でも簡単に手に入ります。また、ネット上でも現代語訳されたもの、特に菊池寛が訳した物語調のものもありますので、是非一度読んでみてください。モチベーションがぐぐっと上がって、英語をもっと勉強したくなること請け合いです。内容自体はとても短いので、解説も合わせて読むともっと面白く読めますよ。というか解説の裏話も結構面白かったり。ターヘル・アナトミアには実はフルヘッヘンドの記述がない、とか。

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