オバマ大統領の最後のスピーチを「読む」

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オバマ大統領最後の演説を「読む」

オバマ大統領 演説

3行でまとめると・・・

オバマ大統領が退任前に行った最後の演説。理想に燃えた大統領が、アメリカ市民のみならず全世界に向けた、最後のメッセージ。ぜひ一度読んでみてください。全訳掲載!

もくじ

オバマ大統領、最後の演説
オバマ大統領 演説全訳
オバマ大統領 メッセージを読み解く
まとめ

オバマ大統領、最後の演説

8年の任期を終えて、ついにオバマ大統領が大統領職から降りるときがきました。日本においても、オバマ大統領を惜しむ声は多く聞かれ、その人気の高さをうかがうことができます。そのオバマ大統領が、先日、最後の演説を行いました。今回はその全文翻訳に挑戦してみたいと思います。原文はTime.comのこのページからとりました。一緒に映像見たいという方はこちらをどうぞ。

オバマ大統領 演説全訳

ハロー 皆さん!

歓迎をありがとう!

ありがとう!

本当にありがとう!

テレビで生中継しているから、進行しなきゃならない。

誰も言うことを聞いてくれないところを見ると、私はダメな指導者だな。

着席して。

親愛なるアメリカ国民のみなさん、ここ数週間皆さんから受け取った温かいメッセージに、私とミッシェルは大変感激しています。でも今夜は、私が皆さんに感謝を述べる番です。

アメリカ国民の皆さんとの会話、面と向かって直接話すときもあれば、まったく意見がすれ違うときもありましたが、家の中だったり、学校だったり、農場だったり、工場の施設内だったり、会食のときであったり、または遠い異国の駐屯地だったり、アメリカ国民の皆さんとの会話一つ一つが私を誠実にし、勇気付け、前へ前へと背中を押してくれました。日々、皆さんから多くのことを学ぶことができました。私を大統領として、また人として大きく成長できたのは、まぎれもなく皆さんのお陰です。

初めてシカゴに来たのは、私が20代前半のころでした。私はまだ未熟で、自分が何者なのか、何を目標に生きていくのか、わからないままでした。ある時、私は閉鎖された工場の近くで教会グループの人たちと一緒に働くことになりました。

そこで私は、信仰心の持つ力、そして困難な状況においても懸命に働く人々の尊厳を、目の当たりにしました。

(もう4年やってくれ!)

それはできないよ。

ここで学んだのは、変革とは、普通の人々が係わり合い、団結して、変革を求めたとき、初めて実現するものなのだということです。

8年間、皆さんの大統領として職務を全うした今でも、その信念は変わっていません。それは私個人だけの信念ではありません。この信念は、アメリカという国の心臓ともいえるもの、民主政治の根幹を成すものです。

それは私たちが神のもとに平等に作られ、生命、自由、幸福の追求という不可侵の権利を与えられているという信念でもあります。

この権利は、当然ながら、自動的に与えられたものではありません。私たち一人一人が、民主主義のもと、より完璧に近い共同体を作ることができるのです。

革新的な理想とともに、建国の父たちが与えてくださった贈り物です。個人それぞれが、努力と自由な発想のもと、夢を追いかけることができる自由。そして、皆がお互いの幸せを実現するために団結する義務。

240年もの間、よりよい国を築くために、課題と目的を見出してきました。それがやがて国民が独裁者ではなく共和制を選ばせ、人々の西部開拓を後押しし、また奴隷たちが自由になるための舵を取らせたのです。

この力が海外から移民や難民を呼び寄せ、女性の政治参加を後押ししました。労働者の団結にもつながりました。この力が兵士たちがOmaha Beachや硫黄島、イラクやアフガニスタンで勇敢に戦う後押しをしました。SelmaやStondwallの人々が、命を懸けて戦う力となったのです。

それが、アメリカは特別な国たらしめているのです。アメリカは決して初めから優れていたわけではありません。私たちアメリカには、次世代の生活をより良くするための力があるということです。

アメリカの進歩は決して平坦ではありませんでした。民主主義の実現は常に困難を極めました。時には血を流すことさえありました。2歩進めば、1歩後退しているように感じる時もあったでしょう。しかしアメリカは常に前進してきたのです。私たちは建国の精神を分かつ仲間を、一部の人ではなく、すべての人を受け入れて、広げていったのです。

もし8年前に、アメリカは不景気を脱し、車産業を復活させ、アメリカ史上最大の雇用創出を行うと宣言したら、もし私が8年前にキューバと新たな関係を築き、戦争をすることなくイランの核兵器開発を止め、9.11の首謀者をやっつけると宣言したら、もし私が8年前に、同性婚の権利を認め、2000万人が健康保険に加入できるようにすると宣言したら、きっと皆さんは、高望みしすぎだと私に言ったことでしょう。

でもこれらすべてを私たちは成し遂げることが出来ました。あなたたち国民みなさんが成し遂げたのです。あなたが変革を起こしたのです。人々の期待にこたえる形で、あなたのおかげで、アメリカは8年前よりずっとよい国になることが出来ました。

10日後には、世界は民主主義の姿を見ることになります。いや、そうじゃない。現大統領から、国民によって選ばれた、次の大統領への、平和的な権力の移行。私は次期大統領であるトランプ氏に、ちょうどブッシュ前大統領が私のときに行なったように、スムースで速やかな権力の移行を約束しました。

次の政府が、私たちがまだ直面している問題に対して、正しく取り組んでいくかを見届けるのは、私たちの責任です。そのために必要なものを、私たちはすべて持っているはずです。今まだある問題に挑戦するための準備は出来ています。私たちは、世界で一番豊かで、もっとも尊敬されている国家だからです。

アメリカの若い世代、アメリカの推進力、アメリカの多様性、アメリカの開放性、アメリカのリスクに挑戦し新しいものを作る力は、すなわち未来は私たちの手の中にあるということです。しかしこれも民主主義が機能してこその話しです。政治が、国民の高潔さを反映してこその話です。私たち一人ひとりが、支持政党や特定の利益関心にかかわらず、今最も必要とされている、共同体としての共通目的を達成しようという気持ちを共有してこその話なのです。

今夜はこの国の民主主義の現状について深く話をさせてください。民主主義とは、単一性を必要とするものではありません。建国の父たちは議論に議論を重ね、妥協点を見出してきました。彼らはきっと私たちに同じことを望むでしょう。建国の父たちは、民主主義とは団結精神を必要としていることを知っていたのです。つまり、たとえ外見は違ったとしても、私たちは同じ船に乗っており、浮くときも沈むときも、一心同体であるということです。

過去には、私たちの団結を脅かす事態に陥ったこともあります。今世紀初頭もそういった事態のひとつでした。世界は沈み、不平等は拡大、人口分布は変貌し、またテロの恐怖にさらされる。これらの脅威は、私たちの安全保障や経済的繁栄を脅かしていただけでなく、民主主義への脅威でもありました。私たちがどのようにこの脅威に立ち向かうか、それが私たちが次世代にどういった雇用を生み出し、またこの国をどのように守るのかを決めます。

つまり、私たちの未来が掛かっているのです。まず、国民全員が経済的機会を与えられていると感じられなければ、民主主義は立ち行きません。

今日よいニュースとしては、経済が再び上向きになっていることが挙げられます。給与、所得、土地の価値、老後保障などすべて上向きの傾向を見せています。貧困が姿を消しつつあるのです。

富裕層は所得に見合った税金を支払っています。株価に大きな変動が見られても、失業率は過去10年で最低水準です。保険に入っていない人の割合も、過去最低になっています・

健康保障の費用も過去50年で一番伸び率が低い状態です。もし誰かが、私たちが確立した健康保険制度を、より安く、より効果的なものにできるというのであれば、私は喜んでその制度を支持するでしょう。

私たちの目的とは、そこにあります。つまり、点数稼ぎをするのではなく、国民の生活を良くするためにあるのです。

しかし、私たちが達成した現状も、まだまだ十分ではありません。経済は、増加する中間層や中間層に入ろうとしている人々の犠牲の元に、特定層が成長するような構造では、成長することはできません。

これは経済的な議論です。しかし極端な不平等は、民主主義の理想にとっての脅威となります。1パーセントの富裕層が利益を享受し、都市部や地方の多くの家族が、貧困に取り残されているのです。

工場を解雇された労働者、ウエイトレス、医療従事者の多くは、日々支払いに追われています。社会は彼らにとって不公平に出来ていると思うでしょう。政府は金持ちの言うことしか聞かないと思うでしょう。こういった考えこそが、絶望感と政治の分断を生み出すのです。

簡単にはこの長期的問題を解決はできないでしょう。経済は自由だけでなく、公平でもなくてはなりません。次の経済的分断は、海外から来るのではありません。数多くの中間層の仕事が、自動化、機械化によって減らされることになるでしょう。

だからこそ、次世代の子どもたちが、必要とする教育を受けられるよう、新たな枠組みを作る必要があります。

労働者が、団結して正しい給与を要求できる権限を与えるのです。

社会のセーフティネットを改定し、現代の生活に見合ったものにする必要があります。

また税制も改定し、会社や個人が正しく税金を納められるようにし、彼らの成功を実現させた民主主義における義務をしっかり果たせるようにします。

これらの目標をどのように実現するか、それは議論することが出来ます。しかしこの目標自体は、変えることはできないはずです。なぜなら、すべての人に成功する機会を与えなければ、進歩を足止めする不満と分断が増大するだけなのです。

民主主義に対する第2の脅威。それは昔から存在するものです。

私が当選した選挙の後、もはや人種問題は終わったと言われました。しかし、それは現実的ではありませんでした。人種は時に、人々を分断する要因となったのです。

過去10年、20年、30年前と比べれば、中には反論する人もいるかもしれませんが、人種問題はずっと改善されています。

それは数値に表れているだけではありません。支持政党を越えて、アメリカの若者の心構えにも現れています。しかしまだです。まだまだ私たちにはやるべきことが残されています。

もし経済問題のすべてを、勤勉な白人中間層と価値を持たない少数派との闘争だと決め付けてしまうと、労働者同士で争いは絶えず、富裕層との溝はよりいっそう大きなものとなります。

もし私たちが移民の子どもに、ただ見た目が違うというだけで、投資をしなければ、私たちは自分たちの子どもたちの未来をつぶしていることにもなります。なぜなら、この移民の子どもたちが、将来のアメリカを支える労働力となるからです。

アメリカの経済はイス取りゲームである必要はありません。昨年、男女、年齢、人種にとらわれず、すべての人の所得は増大しました。
もし私たちが人種問題を改善しようとするならば、まず現状の差別的な法律を改正しなくてはなりません。雇用機会、住宅、教育、また司法においての改善です。

アメリカの憲法とその崇高な理念はそこに根ざしています。

法律だけでは不十分です。心が変わる必要があります。すぐに変わるものではありません。社会的な考えは、変わるのに時間を要するのです。しかし、民主主義がこの豊かな多様性を持つこの国で機能するには、Atticus Finchが言う「誰かを理解するには、その人の視点に立って、その人になったつもりで考えなければ分からない」という言葉をよく噛み締めなくてはなりません。

黒人や他の少数派グループにとって、それは自分たちの正義のための戦いを、他の多くのアメリカ国民が抱える問題と一緒に考えることを意味します。移民や難民、地方の貧困や性転換者だけではなく、経済的、文化的、また社会的な変化によって取り残された、中年の白人男性の抱える問題と一緒に考えなくてはなりません。

注意を払い、よく聞かなくてはならないのです。

白人にとっては、奴隷制度の影響は1960年代に消え去ったわけではないことを認めることから始めなければいけません。少数派グループが声をあげるとき、彼らは逆人種差別や政治的正当性を主張しているのではないのです。彼らが平和的抗議を行なっているとき、彼らは特別な権利を主張しているのではなく、建国の父たちが約束した、平等性を主張しているだけなのです。

アメリカのネイティブ系にとって、移民は昔から、アイルランド系、イタリア系、ポーランド系の人々がアメリカの建国の精神を壊すものだと言われてきたが、彼ら新しい仲間たちは、アメリカの建国の精神を尊重し、国の反映に貢献してきたことを認めることです。

あなたがどの人種グループであれ、私たちは皆がこの国を愛する国民であり、勤勉と家族を愛し、また彼らの子どもたちは自分たちの子ども達と同じように、私たちに愛されるべき存在であるという理解から始めなくてはなりません。

それは簡単なことではありません。私たちの多くが、地域であれ、学校のキャンパスであれ、教会であれ、また特にソーシャルメディア上で、自分たちと同じ考え、同じ肌の色を持つ人々の中に逃げ込み、お互いの違いを認めることさえしなくなっています。支持政党や経済的地域的な分断、メディアの介在によって、人々の分断は自然で、避けられないもののように見えてきます。

安全地帯に逃げ込むことで、自分たちに都合のいい情報だけを、その正誤を見極めることなく受け取り、事実を基にした意見を持つことをしなくなってしまいます。

そしてこれが第3の民主主義に対する脅威と言えます。政治とは考えのぶつかり合いです。民主主義とはそのように出来ているのです。健全な議論において、違う目標に重きを置き、また違った方法でそれを達成しようとします。しかし、正しい事実なしに、また新しい情報を認めることなく、相手が言っていることを認めることなく、また理性と科学は価値があることを認めなければ、議論は平行線をたどるだけでしょう。

そうすると共通点や妥協点を見出すことが不可能になってしまいます。それが政治に不信感を与えているのです。どうして、選挙で選ばれた政治家が、法人税を削減するときには怒らず、保育所のための予算を提出したときに不満を漏らすことができるのでしょうか。

なぜ自党内の倫理問題を黙認し、ライバル政党の同じ問題を糾弾できるのでしょうか。それは不誠実ではなく、事実の取捨選択とも言えます。それは自己の破滅を招きます、ちょうど私の母がよく言ったように、やがて事実が露にされるからです。

気候変動という問題について。この8年間において、海外からの石油への依存を半減し、利用再生可能な電力を2倍にしました。アメリカは世界の国々が、この地球を守るための枠組みに入ることを先導しました。

しかしもっと強力な行動をとらなければ、私たちの子どもたちにはあまり時間が残せなくなってしまいます。彼らは気候変動の存在など議論せず、ただただその影響に取り組むのに精一杯になります。環境災害が増加し、経済的不均衡は拡大し、気候変動による移民の波が押し寄せるでしょう。私たちは、この問題をいかにして解決するかを議論するべきであり、またそれができるのです。問題を無視することは、次の世代に対する裏切りだけでなく、このアメリカの建国の精神を裏切ることになります。建国の父たちを導いた、未知への挑戦と現実的な問題解決の精神です。

この精神こそが、私たちを経済大国に押し上げたのです。この精神が、飛行機を生み出し、病気を治し、ポケットにコンピューターをしまえるようにしたのです。理性と開拓精神への信頼、権力に屈しない正しい心、これが大恐慌時代にファシズムや恐怖政治を押しのけたのです。この精神が、第二次大戦後の民主的世界を構築させたのです。

軍事力や同盟によるものではなく、原則、立法、人権、信仰と言論の自由、団結権や報道の自由に則った世界です。

この世界が今、イスラムを騙る暴力集団によって脅かされています。また、民主主義や自由貿易、市民社会を脅威と捉える独裁者に脅かされています。

民主主義への脅威は、車爆弾やミサイルよりも、より近いところまで来ています。それは変革への恐れです。それは違った言葉、違った祈り方、違った外見の人々に対する恐れです。政治家の政治的透明性に対する軽視です。自由思想に対する不寛容性です。剣や銃や爆弾やプロパガンダが、何が正しく、何が間違っているかを決める要素だと信じる心です。

軍務に服している勇敢なアメリカ国民、情報機関や警察、外交官の絶え間ない努力によって、この8年間、外国のテロ集団はアメリカ国内でテロ行為を実行に移せていない。

しかし、

ボストン、オーランド、サンベルナンディーノ、フォートフッドでの事件が過激化の恐ろしさを思い出させますが、アメリカの治安部隊、警察機関はこれまで以上に、優秀で結果を出しています。ビン・ラディンを含め、数多くのテロリストの排除に成功しています。

ISIL(イスラム国)に対する国際社会の取り組みは、アメリカが先導し、彼らの主導者を排除し、その領土の半分を奪還しました。ISILはいずれ破滅します。アメリカを脅かすものは、誰一人として安全ではいられません。

今または過去に軍隊に服務した方々に対し、私はあなたの最高指揮官となれたことを誇りに思っています。

私たち国民全員が、あなたに深い感謝の気持ちを持っています。

しかし、私たちの生活を守るのは、軍隊の仕事だけではありません。民主主義は、恐怖に負けたとき、もろく崩れてしまいます。だから私たち市民は、国外からの脅威に対して注意を向けるとともに、私たちの掲げる価値を傷つけるものに対しても、注意しなくてはなりません。

だから、過去8年間、テロリズムに対して、法律的なアプローチを取り続けてきたのです。拷問を禁止したのも、グアンタナモ刑務所の閉鎖にむけて働きかけたのも、市民のプライバシーと自由を守るために、政府の情報監視に関する法律を改正したのも、すべてはそのためです。

だから私は、私たちと同じくらいの愛国心を持つイスラム教徒のアメリカ人に対する差別を拒否するのです。

だからこそ、同性愛や女性の権利、人権や民主主義を広げるための世界的な取り組みから引き下がるわけには行かないのです。

たとえ私たちの努力が不完全でも、その努力の価値を無視することが好都合であろうと、これがアメリカを守ることになるのです。過激主義や不寛容や分断主義や狂信的愛国主義との戦いは、すなわち専主制や純国主義との戦いでもあるからです。自由や法遵守の精神が失われれば、国家間の戦争の可能性は高まり、私たちの自由さえ、脅かされてしまいます。

用心深く、しかし恐れてはなりません。ISILは無実の人々を殺そうとします。しかし彼らは、私たちがアメリカの憲法と建国の精神を裏切らない限り、アメリカを傷つけることは出来ないのです。

ロシアや中国といったライバルは、アメリカが持つ世界に対する影響力を超えることは、私たちがアメリカの価値を捨て、小さい国をいじめるだけのただの大きな国にならない限り、できません。

これが私の最後の提言です。私たちの民主主義は、私たちが民主主義を与えられるものだと思ったとき、脅威にさらされます。

私たち一人ひとりが、党の垣根を越えて、民主主義を構築するために働きかけなくてはなりません。

アメリカでの投票率が他の民主主義国家と比較して最低を記録しているならば、投票が簡単に出来るようにしなくてはなりません。

政治に対する不信が高いときは、政治に対するカネの影響力を下げ、透明性と規範性を高めなくてはなりません。議会が機能不全に陥ったとき、地域政治に、民の声に耳を傾けるように言わなくてはなりません。

これらはすべて、ひとりでに起きるものではありません。これらはすべて、私たちが政治に参加し、どの党派に所属していようと、市民としての責任を全うすることに掛かっているのです。

私たちの憲法はすばらしく、美しい贈り物であります。しかしまた、ただの紙でもあります。ただの紙にはなんの力もありません。私たち市民が、憲法に力を与えるのです。私たち市民が、憲法に意味を与え、私たちの政治参加と、政治選択によって、意味を成すのです。

私たちの自由のために立ち上がるか。法遵守の精神を尊重するかどうか、それは私たち次第です。アメリカは決して弱いものではありません。しかし自由がもたらす利益のための長い道のりは、保障されたものでもありません。

ジョージ・ワシントンはその最後のスピーチにおいて、民主政治が私たちの安全、繁栄、自由を保障するが、しかし「異なる原因と異なる立場によって痛みが伴われ・・・この事実に対する信頼を弱らせるだろう」といいました。

だから、私たちはこの真実を油断なく大事にしなくてはなりません。私たちの団結を綻ばせようとする力を、拒絶しなくてはなりません。

アメリカよ、私たちが政治的な議論を単なる泥仕合に成り下がらせてしまえば、市民の中の優秀な人材でさえ、公共のために働くことを躊躇してしまい、アメリカの団結力を弱らせてしまうでしょう。自分と意見を同じにしない人を、敵とみなしてしまう。自分のことを「よりアメリカらしい」と考えることは、アメリカの団結力を弱めていることになるのです。

民主主義プロセスを仕組まれたものだといったり、民主的に選ばれたリーダーを批判し、そのリーダーを選んだ自分たちの役割を見直さない時。

民主主義の価値を守るのは、私たち一人ひとりの責任なのです。このすばらしい国を守り、高めていくという崇高な義務を喜ぶのです。私たちはたとえが意見が違ったとしても、私たちは民主主義における市民という、崇高な役割を背負っているのです。

市民。私たちの民主主義に必要なものです。あなたが必要なのです。選挙のときだけではありません。あなたの狭い利益が脅かされたときだけではありません。すべての人生において、必要なのです。インターネット上の見知らぬ人との議論に疲れたなら、外に出て街の人と話すようにしましょう。

もし何か修正が必要となったならば、外に出て仲間を集めるのです。

もしあなたが投票した政治家に失望したならば、プラカードを持って署名を集め、そして自分で立候補するのです。

立ち上がり、飛び込んで、居続ける。時に勝ち、時に負けるでしょう。良心を頼りにし、リスクをとる。過程に失望することもあるでしょう。でもこの8年間の中心に居た人間として、こう言わせてください。やがて努力は実るのです。アメリカに対する信頼、アメリカ国民に対する信頼を、あなたは見出すことになります。私は大きく見出しました。

この8年間において、多くの若い希望に溢れた卒業生や軍隊入隊者を見てきました。悲しみにくれる家族と共に時を過ごしたこともあります。科学者が負傷した兵士が再び感覚を取り戻すのを見たこともあります。死を覚悟した兵士が、再び歩きだすのを目の当たりにしました。

私は医師団とボランティアが、地震の後の復興に汗を流し、病気の流行をくい止めるのを見ました。私は小さな子どもたちが、難民を支援することの重要さ、平和の尊さ、そしてお互いを支えあうことの大事さを教えてくれました。私がずっと昔に胸に抱いた、普通の市民が生み出す変革を起こすという信念、この信念を、私が想像する以上に、受け取ることが出来ました。

あなたが信念を同じように受け取ったと願いたいです。今日ここに来ているあなた、またはテレビを見ているあなた、あなたは2004年、2008年、2012年の時も、私たちとともにいました。

ここまでこられたことを、まだ信じられないかもしれません。

あなただけではありません。

ミシェル・・・

あなたはこの25年間、私の妻であり、子どもたちの母であるだけでなく、私の最高の友人でもありました。

あなたは望んでもいない役割を果たしてくれました。そしてその役割を、才能と格式と、そしてユーモアに溢れたやり方でこなしてくれました。

あなたがホワイトハウスを、皆が過ごしやすい場所にしてくれました。

これから続く人たちに、高い目標となる人物になってくれました。

あなたを誇りに思う。国全体があなたを誇りに思っている。

マリアとサーシャ

この特異な状況の中で、立派な女性に成長してくれた。

あなたたちは賢く、美しい。そしてなにより、優しく、思慮深く、そして情熱に溢れている。

幼くしてスポットライトを浴びて、大変だったと思う。二人の父親になれて、とても誇り高い。

ジョー・ビデン

デラウェアの人気者。あなたを副大統領と選んだことは、最高の選択だった。

ただのすばらしい副大統領というだけでなく、私の親友となってくれた。あなたとジルを家族のように愛してる。あなたとの友情が、私の人生における最高の喜びです。

8年間お世話になったスタッフのみんな。中にはそれ以上の人もいる。みんなよく働いてくれた。毎日、私のためにしてくれたことを思っていた。真心と、誠実さ。そして理想。皆が大きくなり、結婚し、子どもを持ち、そして新たな旅路に着くのを見守ってきた。

時に苦しい状況になっても、決して仕事に取り付かれることはなかった。悲観主義にとらわれることもなかった。私がもっとも誇りに思うのは、今後の人生においてこれから君たちがもっとすごいことを達成するだろう、ということです。

そして私の支持のために、見知らぬ土地に移った人、彼らを温かく受け入れた家族、ボランティアで家々を訪問してくれた方、生まれて初めて投票した若者、アメリカに生まれ、変革のために働いてくれたすべての人々。あなたたちは最高のサポーターです。私は一生、感謝し続けるでしょう。あなたたちが、世界を変えたのです。

あなたたちが、変革を起こしたのです。

今晩、このステージを降りるとき、8年前よりももっと大きな希望を抱いて、降りることが出来ます。私は私たちの功績が、多くの市民を助けただけでなく、特に若い世代を勇気付け、変化を起こせること、変革は可能であることを見せることが出来たのです。

次の世代の若者たちは、利他的で創造的で、愛国的な若者たちは、今この国に大勢います。あなたたちは自由で公平で大きな器のアメリカを信じています。アメリカは変化の連続で出来ていることを知っています。変化を恐れるのではなく、讃えるものであることを知っています。あなたたちはこの民主主義を、また次の世代に受け継いでくれるでしょう。アメリカの未来は、とても明るいといえます。

親愛なるアメリカ国民よ、あなたのために働くことが出来て、幸せに思います。でも終わりではありません。これからも、一市民として、あなたたちと共にいます。今は、若い人も、心が若い人も、大統領として一つだけお願いがあります。それは8年前にお願いしたことと同じです。

信じること。私が変革を起こすことではなく、あなた自身を、信じることです。

建国の文章に書かれている信念を、持ち続けるのです。奴隷や解放論者によって広められた理想を、移民や入植者、正義のために戦った人々歌った魂を、異国の戦場や月面にアメリカの旗を掲げた人々が持っていた信念を、まだ語り継がれていないアメリカ国民すべての心に宿る信念を持ち続けるのです。Yes we can.

Yes, we did.

Yes, we can.

ありがとう。神の祝福を。
神がアメリカを祝福し続けることを。
ありがとう。

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学生の頃は「モテない・サエない・イケてない」隅っこが指定席の目立たない子どもだったが、英語と出会うことで人生が一変。アフリカでのボランティアやオーストラリア留学、世界一周などを敢行する。英検1級、TOEIC965点。専門は国際関係論。